気胸pneumothorax)



気胸は胸膜腔すなわち壁側胸膜と臓側胸膜の間に空気が入っている状態である。気胸の診断は胸膜腔に血管構造を欠く空気層を見出すことによってなされる。(図1)通常の吸気時X線撮影では肺が膨らんで臓側胸膜が胸壁に密着してしまうので少量の気胸は見逃されることがある。呼気撮影では肺の容積が減ずるので気胸の層が厚く見え診断は容易なる。症状としては、突然の胸痛、呼吸困難、乾性咳で発症するが軽い息切れのみのこともある。20代から30代の健康な若年男子に突然起こる自然気胸の原因の多くは臓側胸膜の直下に存在する異常空間(のう胞状含気腔)の破裂であるとされている。治療法としては穿刺排気、水封式胸腔ドレナージ、手術の3段階があるが、はじめて自然気胸に罹患した症例では胸腔ドレナージで80%は治癒する。軽度のものは放置してよい。手術は再発を繰り返す症例に行われる。